今月の主題 痛みの診断とその対策
痛みの対策
坐薬
菅原 幸子
1
1東京女子医科大学附属第二病院・整形外科
pp.2536-2537
発行日 1989年12月10日
Published Date 1989/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222979
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坐剤とは人体の開孔部,特に肛門,膣,尿道などに挿入して使用するもので,Suppositoryという言葉ljSup="下に"とpositoria="置く"の2語より成っており,口以外の体腔の入口から投与するという意味がある.紀元前1,500年には,すでに薬が直腸に挿入されていたと考えられている.近代医学では17世紀に,まず浣腸の目的で石鹸坐剤が用いられている.その後注射剤の進歩から衰退したが,1930年頃から局所の治療薬(下剤,痔など),その後全身用薬(鎮痛,鎮痙,抗癌,抗生物質,ステロイドなど)が開発され関心が直まった.しかし患者さんに嫌われたため,その使用は消極的であった.最近drug delivery system(DDS,薬物送達システム)の観点から積極的に使用されるようになって来た.
現在坐剤で最も多く用いられているのは,非ステロイド抗炎症・鎮痛剤である.使用されている薬剤としては,インドメサシン,ジクロフェナク,ケトプロフェン,ピロキシカムなどであり,形は円錐あるいは紡錐形で,重量は本邦の場合は1〜2gが一般的である.基剤としては疎水性基剤と親水性基剤に2大別され,最近は基剤性能が改善され薬効成分が効率的に吸収されるようになり,使用感も良好となり,使用量も増加している.
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