今月の主題 肝疾患Q&A
肝疾患の疫学と機序
医療従事者の職場感染によるウイルス肝炎は劇症化しやすいか
小坂 義種
1
,
為田 靱彦
1
,
高瀬 幸次郎
2
1三重大学医学部臨床検査医学
2三重大学第1内科
pp.432-434
発行日 1996年3月10日
Published Date 1996/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402904983
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
ポイント
●1987年,三重大学小児科病棟で2名の医師と1名の看護婦がB型急性肝炎に罹患し,うち医師2名が劇症肝炎で死亡した.この2名の劇症肝炎患者の血清中のB型肝炎ウイルスの遺伝子学的解析の結果pre-core領域の変異がみられた.
●この出来事を契機として,医療従事者に対するワクチンの接種が普及し,その後医療従事者におけるB型肝炎の発生は激減している.
●特に,医療従事者で肝炎が劇症化しやすいとの成績はなく,単に感染の機会の多いことが劇症肝炎の多い原因と考えられる.
●最近では針刺し事故後のC型急性肝炎発生の報告が多く,今後感染予防対策が必要と考えられる.
Copyright © 1996, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.