図解・病態のメカニズム—分子レベルからみた神経疾患・6
トリプレットリピート病(1)—筋緊張性ジストロフィー
江口 郁代
1
1新潟大学脳研究所神経内科
pp.381-384
発行日 1996年2月10日
Published Date 1996/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402904973
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疾患概念
筋緊張性ジストロフィー(筋強直性ジストロフィー)は,常染色体優性遺伝を呈し,わが国における頻度は10万人に5.5人といわれ,欧米の8,000人に1人の頻度と比べ少ない.多くは20歳台後半に遠位筋に強い筋力低下や筋萎縮で気づかれる.骨格筋,舌筋のミオトニアを伴い,針筋電図では刺入時のdive bomber soundが特徴的である.障害は骨格筋のみならず,中枢,末梢神経系や多臓器に及び,知能低下,耐糖能異常,胆道系異常,甲状腺機能障害や性腺機能低下などの内分泌異常,低γ-グロブリン血症,心伝導障害,呼吸器障害を呈する.また,前頭部禿頭,myopathic face,咬合不全が外見上の特徴である.
本症は白内障のみか,筋症状はあってもごく軽症の潜在型,成人期に発症する成人型,小児期に発症する小児型,周産期の羊水過多,胎動微弱,遷延分娩を経て,生下時より呼吸障害,筋緊張低下を呈し,強い知能低下を伴う先天型の4型に分類される.
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