知っておきたい産科婦人科の疾患と知識・6
嘔気,食欲不振と妊娠
吉松 淳
1
,
穴井 孝信
1
,
宮川 勇生
1
1大分医科大学産科婦人科学教室
pp.386-390
発行日 1996年2月10日
Published Date 1996/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402904974
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生殖年齢にある女性が,嘔気,嘔吐,食欲不振などの消化器症状を主訴に来院した場合,常に患者が妊娠していないかどうかを念頭に置く必要がある.なぜなら,このような消化器症状が妊娠初期に特有な“つわり”による場合も少なくないことや,患者が妊娠している場合,妊娠初期の妊婦への不必要な放射線被曝や禁忌薬の投与を避けることができるからである.そのために,最終月経の確認,場合によっては妊娠検査(尿中hCG〔ヒト絨毛性ゴナドトロピン〕検査)を行うことが望ましい.
また,逆に,妊娠しているがために消化器の器質的疾患によるこのような症状を妊娠悪阻と見誤ったり,内視鏡検査を躊躇してしまい,胃癌などの重篤な疾患の発見が遅れる場合もある.
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