今月の主題 糖尿病診療の実際
合併症への対応
有痛性神経障害の薬物療法
姫井 孟
1
,
内田 耕三郎
1
1岡山赤十字病院・第1内科
pp.828-830
発行日 1991年5月10日
Published Date 1991/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402900873
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糖尿病患者に見られる有痛性の神経障害は夜間不眠を伴い,その苦痛は耐え難い場合が多い.しかし,糖尿病患者が四肢の疼痛を訴えた場合,すべてが糖尿病性神経障害に基づくものとは限らない.脊椎変形症による坐骨神経痛や下肢の閉塞性動脈硬化症に起因する疼痛,アルコール性神経炎やがん性疼痛など,鑑別を要する疾病は多い.年齢,性別,罹病期間,コントロール状態を参考に除外診断をすることが大切である.
糖尿病のコントロールに際して,急速な血糖降下は,高血糖状態に晒されていた神経線維を取り巻く浸透圧のバランスを崩すことになり,治療後にpost treatment neuropathyを惹起して,激しい疼痛が起こることは良く知られている.長期間高血糖状態にあった患者では,徐々に血糖を下げることが大切である.
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