今月の主題 ベッドサイドの痴呆学
痴呆へのアプローチ
器質性痴呆の種類と特色—クロイツフェルト・ヤコブ病
立石 潤
1
1九州大学医学部・脳神経病研究施設病理部門
pp.2058-2059
発行日 1990年10月10日
Published Date 1990/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402900533
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クロイツフェルト・ヤコブ病(以下CJD)は初老期痴呆症に属する変性疾患と思われていたが,患者材料を実験動物に接種すると長い潜伏期間の後に発病することが判った.ほぼ同一の疾患で遺伝性に発病するゲルストマン・ストロイスラー病(以下GSS)とニューギニアの原住民に多発したクールーが知られており,動物では羊のスクレイピーとそれが他の動物に伝播したミンク脳症や牛の海綿状脳症(BSE)などがある.後者は乳牛が突然狂暴になるところから,“狂牛病”と呼ばれて最近注目されている.これらはいずれも脳に海綿状変化とクールー斑を共通に示し,特異なプリオン蛋白が証明され,亜急性海綿状脳症またはプリオン病と総称されることがある.
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