今月の主題 ベッドサイドの痴呆学
痴呆へのアプローチ
器質性痴呆の種類と特色—アルツハイマー型老年痴呆
武田 雅俊
1
,
西村 健
1
1大阪大学医学部・精神科
pp.2051-2056
発行日 1990年10月10日
Published Date 1990/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402900532
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老年痴呆(senile dementia)の概念を明確に独立させ,その病態を具体的に記述したのはEsqui-rolであり(濱中,1986),Kraepelinの精神医学教科書第8版では,1907年にAlois Alzheimer(1864〜1915)が報告した初老期痴呆はアルツハイマー病と命名され,老年痴呆との異同が議論されている.長い間アルツハイマー病は老年痴呆と区別されてきたが,1960年代以降の生化学的研究により,アルツハイマー病と老年痴呆とは類似の神経化学的病変を示すことが認められ,現在は両者をまとめてアルツハイマー型痴呆(dementia ofthe Alzheimer type)と呼ばれている.アルツハイマー型痴呆の病理過程はウイルス性脳疾患,ボクサー脳症,パーキンソン痴呆症など多種の病態にも認められているが,加齢変化と密接な関係を有する疾患であり,脳の生理的加齢変化との区別が問題となる.
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