検査ファイル
クロイツフェルト・ヤコブ病
今福 一郎
1
,
金澤 一郎
1
1東京大学医学部神経内科
pp.1001
発行日 1995年11月1日
Published Date 1995/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543902554
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はじめに
クロイツフェルト・ヤコブ病(Creutzfeldt-Jakobdisease)は,急速に進行する痴呆,ミオクローヌスを主症状とし,発症すると多くの場合,1年以内に死亡する予後不良の病気である.病理学的には海綿状脳症を特徴とする.類似の病理所見を呈するkuruが,死人の脳を食う習慣のあるニューギニア原住民の間で蔓延した病気であり,この病気の脳をチンパンジーに接種すると数年で発症した.こうしたことからslowvirus infectionという言葉が使われていたが,Prusinerは,ヤギやヒツジで海綿状脳症を呈するスクレイピーに感染したハムスターの脳から,最も感染性の高い分画を取り出し,核酸を持たない蛋白質からなる粒子としてプリオンと命名した.プリオン蛋白は,宿主固有の遺伝子によって作られ,正常でもほとんどすべての細胞に認められる膜貫通性蛋白であることがわかり,クロイツフェルト・ヤコブ病,kuru,Gerstmann-Sträus-Scheinker症候群,スクレイビーなどには共通に異常なプリオン蛋白が認められることから,これらをプリオン病と呼ぶようになった.
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