今月の主題 ベッドサイドの痴呆学
痴呆へのアプローチ
器質性痴呆の種類と特色—皮質下性痴呆
金澤 一郎
1
1筑波大学臨床医学系・神経内科
pp.2060-2061
発行日 1990年10月10日
Published Date 1990/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402900534
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「皮質下性痴呆」という言葉だけは今世紀初頭からあったもののあまり注目されずにいたが,アルツハイマー病を中心とする皮質性痴呆が問題になるにつれて,それとは臨床的に一味異なる痴呆として注目を集めることとなった.現在では大脳皮質より奥深い部分,すなわち皮質下の諸核に主たる病変をもつ疾患に認められる知能障害を皮質下性痴呆と呼んでいる1).実際には,これに性格変化など精神障害をも含めるのが一般的である.したがって,皮質下性痴呆を呈する原因疾患はきわめて多彩であり,パーキンソン病,ハンチントン病,進行性核上麻痺,脊髄小脳変性症(とくに歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症;DRPLA),視床変性症など,数多くの疾患がその基礎疾患として挙げられている.厳密にいえば現在でもなおこの概念には混乱や反論があるものの,ここに挙げた各種疾患における知能障害がアルツハイマー病などとは異なる特異的な臨床像を呈するという点には異論はないであろう.
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