疾患と検査値の推移
心房細動に対するワルファリン療法
上塚 芳郎
1
1東京女子医科医大学循環器内科
pp.1068-1074
発行日 2010年10月1日
Published Date 2010/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543102963
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心房細動と抗凝固療法
心房細動(atrial fibrillation,AF)は古くから知られた疾患であるが,昔はリウマチ性心臓弁膜症が多かったため,弁膜症に合併した心房細動が多かった.しかし,抗菌薬の発達とともにリウマチ熱は影を潜め,現在は心房細動と言えば非弁膜性心房細動(non-valvular atrial fibrillation,NVAF)のことを指すことが多くなった.NVAFの頻度は年齢とともに上昇するが1),単に不整脈としての症状だけでなく,それに付随する合併症の脳卒中(脳塞栓)による社会的な影響が非常に大きい.現在では,脳梗塞の原因の30~40%が心原性の脳塞栓症と考えられており,心臓内にできた血栓はサイズが大きいため,比較的太い径の脳血管に塞栓症を生じやすく,大梗塞を生じるのが特徴である.
いったん脳卒中を発症すれば,長い闘病生活やリハビリテーションが待っている.それにもかかわらず重い後遺症を残すことも多い.したがって,予防が大きな意味をもつ.
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