増刊号 診断基準とその使い方
VII.血液
24.血友病とvon Willebrand病
高松 純樹
1
,
斎藤 英彦
1
1名古屋大学医学部・第1内科
pp.2070-2073
発行日 1988年9月30日
Published Date 1988/9/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222003
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■診断基準(表)
■血友病
血友病は1,000年以上前にもその疾患の記載がある,伴性劣性遺伝形式を示す男子にのみみられる先天性出血性疾患であり,凝固第VIII因子活性の低下するものを血友病A(以下A),第IX因子活性の低下するものを血友病B(以下B)という.出血の特徴は関節内・筋肉への出血で,その他軟部組織への出血,中枢神経系への出血もみられ,外傷,手術後の止血困難もよくみられる.臨床的には第VIII因子,第IX因子の活性により重病型(活性値1%以下),中等症(1〜5%),軽症型(5%以上)に分類される.
病因論的にはA,Bともにほとんどが蛋白が欠乏したいわゆる蛋白欠乏型CRM-(cross reactive mate-rial negative)であるが,Aでは約10%がCRM+(cross reactive material positive)で,Bでは約25%がCRM+であり分子異常と考えられる.遺伝子解析や蛋白化学的研究により,これら異常症の解析も行われ,Aでは1塩基置換のためArg-Glnとアミノ酸置換がみられ,そのために第VIII因子活性が低下した症例の報告もある.一方,Bでも解析が進んでおり,IX因子Chapel HillではArg-145-Hisに,IX因子AlabamaではAsp-47-Glyに,IX因子KashiwaraではVal-182-Pheというアミノ酸置換が報告されている.
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