臨時増刊特集 これだけは知っておきたい診断のポイント
IX.血液疾患
血友病 VS von Willebrand病
森 和夫
1
Kazuo MORI
1
1東北大学医学部・第3内科
pp.2058-2059
発行日 1980年11月20日
Published Date 1980/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216876
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なぜ鑑別が問題となるか
血友病およびvon Willebrand病は,先天性出血性疾患で遺伝性を有すること,幼少時より出血症状のみられること,また軽症例では通常時には健康者とかわらないが,外傷手術などにより大出血を起こし,生命の危険をまねく場合も少なくないことなどの点で臨床上共通の問題点を有する.血液学的には血友病Aとvon Willebrand病は,血液凝固第Ⅷ因子異常という点では共通点も有するが,その分子異常の態度が異なるという基本的相違点もあるため,その正しい診断,病態の把握がぜひ必要である.
定義 血友病は古代より知られた伴性劣性の遺伝形式により男性にのみ発症する先天性出血性疾患で,血液凝固第Ⅷ因子活性の低下するものを血友病A,第Ⅸ因子活性の低下するものを血友病Bという.血友病の重症度は,第Ⅷ(Ⅸ)因子活性1%以下が重症,1〜5%を中等症,5%以上は軽症とされている1).
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