特集 出血傾向のLaboratory Diagnosis
Ⅲ.最近注目されている出血性素因
1.血友病とvon Willebrand病
長尾 大
1
1神奈川県立こども医療センター血液科
pp.1284-1296
発行日 1980年11月1日
Published Date 1980/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542915620
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厚生省研究班(吉田邦男班長)の1976年の集計では,全国の先天性出血素因の患者数は3,341人であった(表1)1).そのうち血友病は約82%を占める約2,750人であり,von Willebrand病は280人であった.このようにその出血症状からも頻度からも,血友病は先天性出血素因の中で重要な地位を占めている.von Willebrand病は血友病に次いで多く,血友病Aとの鑑別において,また第Ⅷ因子を理解するうえに重要である.
血友病の発生頻度は男子出生人口約4,500人に1人であり,諸外国に比し決して少なくない2).伴性劣性遺伝の典型と言われ,通常男子のみにみられるが,患者の約40%は家族歴を持たない.近年の保因者診断の進歩により,このかなりは隠れた遺伝子の伝達であるが,一部に突然変異によると思われる症例がみられている.
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