今月の主題 止血機構とその異常
治療の進歩
血友病インヒビターのバイパス療法
藤巻 道男
1
,
依藤 寿
2
1東京医科大学・臨床病理学教室
2東京医科大学・臨床病理学
pp.268-271
発行日 1986年2月10日
Published Date 1986/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402220223
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
血友病Aあるいは血友病Bに対する補充療法の経過中に,Ⅷ因子あるいはIX因子に対するインヒビターの発生することがある.血友病Aでは5〜10%に血友病Bでは1〜3%にみられると考えられている.そのインヒビターの発生機序は不明であるが,インヒビターのほとんどすべてはIgGに属し,多くはheterogeneityであり常に単一なlight鎖型と,しばしば単一なIgG亜型がみられる.
インヒビター発生患者には2つの型があり,血友病ではⅧ因子またはIX因子製剤の輸注によりインヒビター力価の上昇の少ないlow responderと,上昇の高いhigh responderとがある.lowresponderは最大のインヒビター力価が2〜3B.U/mlであり,インヒビター患者の約20%にみられている.またhigh responderは製剤の輸注により既往免疫反応anamnestic responseにより,10B.U/ml以上に上昇し,インヒビター患者の約50〜60%にみられている.この2つの型に入らない,その他のインヒビター患者もある.
Copyright © 1986, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.