シリーズ最新医学講座―遺伝子診断 Application編
血友病
稲葉 浩
1
Hiroshi INABA
1
1東京医科大学臨床病理学教室
キーワード:
血友病
,
変異
,
ポリモルフィズム
Keyword:
血友病
,
変異
,
ポリモルフィズム
pp.932-936
発行日 1997年8月15日
Published Date 1997/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542903401
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はじめに
血友病は,伴性劣性の遺伝形式をとる先天性の出血性疾患であり,血液凝固第Ⅷ因子の欠損・異常に起因する血友病Aと第Ⅸ因子に起因する血友病Bに分類される.男児における発生頻度は,血友病Aでは5,000人に1人,血友病Bでは30,000人に1人である.
X染色体長腕(Xq 27-28)に存在する第ⅧおよびⅨ因子の遺伝子は,ともに1980年代前半に単離され,その構造が明らかとなった1-6).第Ⅷ因子遺伝子は全長186kbの巨大な遺伝子で,X染色体の約0.1%に相当する.この遺伝子は26個のエクソンから構成され,mRNAは約9kbの大きさである.第IX因子遺伝子は第Ⅷ因子遺伝子から約40メガベース,セントロメア側に位置し,全長34kbで8個のエクソンから構成され,mRNAは約1.5kbの大きさである(図1).
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