カラーグラフ 臨床医のための甲状腺生検
針生検の適応と手技
藤本 吉秀
1
,
小原 孝男
1
,
平山 章
2
Yoshihide Fujimoto
1
,
Takao Obara
1
,
Akira Hirayama
2
1東京女子医科大学・内分泌外科
2東京女子医科大学病院病理科
pp.2770-2771
発行日 1983年12月10日
Published Date 1983/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218821
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これまで甲状腺の生検として穿刺吸引細胞診の実施方法,ならびに診断の要点について述べてきた.もう一つ甲状腺疾患の診断にあたって習熟しておきたい生検方法に,太い針で行う穿刺針生検がある.穿刺針生検はVim-Silverman針(図1),またはTru-Cut針(図2)により組織片を採取して(図3)組織診断を行うもので,この点で穿刺吸引細胞診との基本的違いがある.
針生検の適応として筆者らが考えているものは,①慢性甲状腺炎の確定診断,とくに甲状腺機能検査や免疫学的検査(MCHA,TGHA)で診断がつかないとき,慢性甲状腺炎の患者で甲状腺の一部が結節状に腫大し,それが炎症自体によるものか,それとも腺腫や癌を合併しているのか鑑別の難しいとき,または慢性甲状腺炎の組織変化がびまん性か散在性か確定したいとき,②慢性甲状腺炎と甲状腺原発の悪性リンパ腫の鑑別診断,③手術適応のない未分化癌の確定診断,とくに臨床的に未分化癌が疑われるが細胞診で確定診断のつかないとき,などである.
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