カラーグラフ 臨床医のための甲状腺生検
乳頭癌の細胞診所見(3)
藤本 吉秀
1
,
小原 孝男
1
,
平山 章
2
Yoshihide Fujimoto
1
,
Takao Obara
1
,
Akira Hirayama
2
1東京女子医科大学・内分泌外科
2東京女子医科大学・病院病理科
pp.614-615
発行日 1983年4月10日
Published Date 1983/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218233
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甲状腺乳頭癌では,腫瘍の一部に分泌液が貯留して大きな嚢胞を形成することがある.甲状腺結節の内部構造を知るには,超音波検査が簡便で最もよい.超音波検査上嚢胞性結節であるが,嚢胞壁の一部にポリープ様突出を有し,さらに壁外の充実性腫瘤に連続している所見を示すものでは,乳頭癌の疑いが濃厚である.ただし,同様な所見は腺腫様甲状腺腫の嚢胞結節やコロイド腺腫で嚢胞を形成したものに認められるので,確定診断のためには内容液を吸引して細胞診を行う必要がある.
穿刺液の細胞診で,嚢胞に共通して出現する好中球や泡沫細胞に混って,乳頭状構造をもつ円柱細胞ないし円錐形細胞の細胞集団を認めるときは乳頭癌の可能性が高い(図1).
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