カラーグラフ 臨床医のための甲状腺生検
濾胞癌の細胞診所見
藤本 吉秀
1
,
小原 孝男
1
,
平山 章
2
Yoshihide Fujimoto
1
,
Takao Obara
1
,
Akira Hirayama
2
1東京女子医科大学・内分泌外科
2東京女子医科大学病院病理科
pp.1558-1559
発行日 1983年9月10日
Published Date 1983/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218434
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濾胞腺癌は甲状腺癌の15〜20%を占め,通常リンパ節転移よりも血行性に遠隔転移を起こしやすい性質をもつ.よく分化した濾胞癌は甲状腺ホルモン合成能があり,ヨードを取り込む.そこで濾胞腺癌の診断が確実につけば,血行性転移巣の131I療法を考慮して甲状腺全摘を行う適応がある.
しかし,触診をはじめとして,種々の補助検査法による甲状腺結節の術前診断では,濾胞腺腫と濾胞癌を確実に鑑別することが最も難しい.穿刺吸引細胞診においても多くの濾胞細胞が採取でき,濾胞構造を形成し,コロイドをほとんど認めない,などの濾胞状増殖を示す所見は,濾胞腺腫でも濾胞癌でも共通して認められる.また骨転移を有する濾胞癌とコロイド腺腫の細胞像を並べて比較しても,核の大小不同,異形性,細胞密集度,クロマチンや核小体の所見にほとんど差の認められないことが多い(図1,2).
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