カラーグラフ 臨床医のための甲状腺生検
乳頭癌の細胞診所見(1)
藤本 吉秀
1
,
小原 孝男
1
,
平山 章
2
Yoshihide Fujimoto
1
,
Takao Obara
1
,
Akira Hirayama
2
1東京女子医科大学・内分泌外科
2東京女子医科大学病院病理科
pp.260-261
発行日 1983年2月10日
Published Date 1983/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218152
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甲状腺悪性腫瘍の病理組織型別頻度をみると,乳頭癌が最も高頻度にあり,全体の約75%を占める(表).したがって甲状腺癌の診断・治療にあたる場合,乳頭癌の特徴をよく知ってかかることが最も大切である.
乳頭癌は,男女比1:6と女性に好発し,ほとんどあらゆる年齢層に認められるが,とくに30〜40歳代に多い.病態の特徴の一つは,血行性転移の頻度は低いが,頸部所属リンパ節に転移を起こしやすいことである.増殖傾向は一般に穏やかで,治療後の10年生存率が80〜90%と高く,予後はよい.ただし,50歳以上の高齢者,とくに男性に生じたもの,甲状膝被膜外に浸潤性増殖を起こしたものは必ずしも予後良好とはいえない.
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