カラーグラフ 臨床医のための甲状腺生検
未分化癌の細胞診所見(1)—巨細胞癌
藤本 吉秀
1
,
小原 孝男
1
,
平山 章
2
Yoshihide Fujimoto
1
,
Takao Obara
1
,
Akira Hirayama
2
1東京女子医科大学・内分泌外科
2東京女子医科大学病院病理科
pp.784-785
発行日 1983年5月10日
Published Date 1983/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218275
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甲状腺未分化癌は全甲状腺癌の約3%を占めるにすぎないが,急激に進行して予後が悪く,治療の最も難しいやっかいな疾患である.その病態は,穏やかな増殖傾向をもち予後の比較的よい分化癌とは著しく異なる.
未分化癌は60歳以上の高齢者に多くみられ,男女比が1:2程度で,分化癌ほどの性差を示さない.局所所見では,急速に増大した径5cm以上の甲状腺腫瘤が大半を占め,腫瘤は隣接臓器に浸潤して可動性を欠くものが多い.患者は,頸部の疼痛,嗄声,呼吸困難,嚥下障害など,周囲組織への浸潤圧迫による症状を強く訴える.また,局所の圧痛,熱感,発赤を伴い,食思不振,全身倦怠感,発熱などの全身的反応を起こし,貧血,白血球増多,血沈亢進を示すことが多い.
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