カラーグラフ 臨床医のための甲状腺生検
甲状腺穿刺吸引細胞診の意義と方法
藤本 吉秀
1
,
小原 孝男
1
,
平山 章
2
Yoshihide Fujimoto
1
,
Takao Obara
1
,
Akira Hirayama
2
1東京女子医科大学・内分泌外科
2東京女子医科大学病院病理科
pp.86-87
発行日 1983年1月10日
Published Date 1983/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218117
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甲状腺穿刺吸引細胞診の意義
触診上結節状の甲状腺腫として触れる疾患には,腺腫様甲状腺腫,腺腫,癌,悪性リンパ腫があり,これらのほかに亜急性甲状腺炎と橋本病の一部のものがときに鑑別が問題になる.臨床経験を積むと,現病歴の聴取と触診所見とでいずれの疾患か大体見当がつけられる.さらに,今日では各種の画像診断法が発達した.
しかし,触診にしろ,画像診断にしろ,間接的な診断法であるので,治療方針を決める際にもうひとつ直接的な情報が得られると一層都合がよい.とくに甲状腺癌は病理組織型により病態が著しく異なり,治療方針が違うので,ただ癌の診断だけでは不十分であり,病理組織型まで判定できるとさらに良い.このような目的にかなう,外来でも簡便にできる検査法として,最近甲状腺穿刺吸引細胞診の有用性が専門医間で広く認識されるようになった.
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