カラーグラフ 臨床医のための甲状腺生検
腺腫様甲状腺腫の細胞診所見
藤本 吉秀
1
,
小原 孝男
1
,
平山 章
2
Yoshihide Fujimoto
1
,
Takao Obara
1
,
Akira Hirayama
2
1東京女子医科大学・内分泌外科
2東京女子医科大学病院・病理科
pp.1148-1149
発行日 1983年7月10日
Published Date 1983/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218351
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腺腫様甲状腺腫は,多中心性に甲状腺濾胞上皮の過形成とコロイド貯留が起こり,そこに出血,壊死,結合織増生,石灰沈着などの2次的退行性変化が加わり,過形成と退行性変化とがくり返し起こることによって多発性結節の形をとる疾患である.病因は,外国のヨード不足地帯のものを除くと不明である.しかし,家族性発生の認められるものが多く,何らかの遺伝性代謝異常が関与している可能性が高い.
病理組織学的に腺腫様甲状腺腫は2つに分類できる.すなわち,①甲状腺全体に大小多数の結節が生じ,個々の結節の境界は不明瞭で,結節以外にほとんど正常な甲状腺組織の残っていない,狭義の腺腫様甲状腺腫(図1)と,②数個の結節が生じているが,結節間の甲状腺組織はほぼ正常である,いわゆる腺腫様結節(図2)がある.
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