臨時増刊特集 問題となるケースの治療のポイント
III.呼吸器疾患
内科的治療の限界と手術のタイミング
54.肺真菌症—とくにアスペルギローマについて
名取 博
1
,
檀原 高
1
Hiroshi Natori
1
,
Takashi Danbara
1
1自治医科大学・呼吸器内科
pp.2192-2194
発行日 1983年12月1日
Published Date 1983/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218595
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
内科領域の深在真菌症として肺真菌症は最も多い.原因菌はアスペルギルスの頻度が高く,次いでカンジダ,クリプトコッカス,ムコール(藻菌),放線菌,ノカルジアなどがあげられる.アスペルギルス症にはアスペルギローマ,術後気管支断端アスペルギルス症に代表される局所型,免疫不全などの全身性の要因が問題となるアスペルギルス肺炎,膿胸,敗血症などの浸潤型,およびアスペルギルス性喘息,アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(allergic bronchopulmonary aspergillosis;ABPA),アスペルギルス性過敏性肺臓炎などのアレルギー型が知られている.アスペルギローマは宿主の全身性要因よりはむしろ気道の局所性の感染防御機構の欠陥部位に菌球(fungusball)を形成する特異な感染様式を示す.
Copyright © 1983, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.