Japanese
English
Bedside Teaching
パラコート肺
Paraquat Lung
名取 博
1
,
吉田 薫
1
,
吉良 枝郎
1
Hiroshi Natori
1
,
Kaoru Yoshida
1
,
Shiro Kira
1
1自治医科大学呼吸器内科
1Jichi Medical School
pp.409-412
発行日 1977年5月15日
Published Date 1977/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203050
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パラコート(paraquat)は強力な除草剤であるが,また同時に人体や動物に少量でも強い毒性を示す。本剤は吸入では毒性を示さず,経口摂取または注射で毒性が現われる。急性期には肺水腫と肺出血などの肺病変とともに高度の腎および肝障害も発生し,急速に死の転帰を取るものが多いが,この時期を乗越えて比較的長期生存しえた症例には間質性肺炎が形成され,呼吸不全が病像を支配して致死的となる。これらの変化は"パラコート肺"として実験的肺線維症のモデルという面からも注目されている1,2)。臨床例では自殺の目的で服毒したり,ジュースや他の空瓶に保存してあったパラコートの誤飲が症例の大部分を占めていて,1962年パラコートが発売されると1966年にはパラコート中毒の報告がみられる3)。海外では1970年までに約120例の報告があり、本邦では1975年までに我々の検索しえた範囲内で40例以上あるが,これは氷山の一角で事故として処理される未報告例を含めると更に多数に昇るといわれている。かかる症例数の増加に対応する如くCrofton & Douglas著のRespiratory Diseaseの第2版(1975)にはすでにParaquat Lungの一章がもうけられている4)。
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