発行日 2006年12月1日
Published Date 2006/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2007094862
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52歳男性。患者は咳嗽・喀痰を主訴に近医を受診、胸部X線にて肺感染症を疑われ、著者らの施設へ紹介となった。入院時、肺炎を考えbiapenemを点滴したが、第13病日に喀痰よりMRSAが同定され、vancomycin hydrochlorideの点滴に変更した。更に同日の胸部CTにて左上肺野の空洞病変内に典型的な菌球の出現を認め、肺アスペルギローマと診断された。一方、右肺尖部にも気腫性肺嚢胞があり、また左S6を中心に新たな浸潤影がみられた。複合感染を考え、MRSA治療に平行し、アスペルギローマに対しmicafungin sodiumの点滴を追加した。その結果、菌球は縮小し、itraconazoleの内服治療に変更、第130病日目に退院となった。しかし、以後、第161病日目に喀痰のMRSAは陰性となったが、第274病日目にコップ1/3程度の喀血を認め、肺アスペルギルノーマの病巣が左上肺に限局していたため、第303病日目に左上葉切除を施行した。術後、血痰は消失し、経過は良好となった。
©Nankodo Co., Ltd., 2006