臨時増刊特集 問題となるケースの治療のポイント
III.呼吸器疾患
内科的治療の限界と手術のタイミング
55.膿胸
泉 三郎
1
,
星野 清
1
Saburo Izumi
1
,
Kiyoshi Hoshino
1
1富山医科薬科大学・第1内科
pp.2196-2197
発行日 1983年12月1日
Published Date 1983/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218596
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症例
57歳,男性.鉄工所経営.受診の3週間ほど前より,右側胸部痛が出現.咳,痰などはなかった.受診5日前に39.6℃の高熱が出た.身体所見としては,右側全般に呼吸音の減弱があり,打診上濁音を呈した.この際,呼気の異常な悪臭に気付いた.胸部X線像は,図1,2のごとくであった.以上より膿胸,殊に嫌気性菌性膿胸を疑った.患者は身長164cm,体重64kgで,糖尿病はなく,大酒家でもなかった.しかし,多数の虫歯を認めた.受診時の白血球は14,800/mm3(核左方移動あり),血沈100mm/hour,CRP 10+であった.胸腔穿刺したところ,悪臭を放つ粘稠な膿汁が数ml採取できた.これを細胞診,結核菌および他の細菌培養などに提出したところ,嫌気性菌培養で菌の生育が認められ,後にFusobacterium nucleatumと同定された.
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