発行日 2005年11月1日
Published Date 2005/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2006040996
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
43歳男.咳,発熱,血痰,体重減少(10kg/yr)を主訴とした.胸部X線像およびCTでは右肺に薄壁空洞を認めた.アスペルギルス抗体は4×で,喀痰からはアスペルギルスニーゲルが得られた.抗真菌薬(micafungin sodium)の投与により炎症所見,解熱,薄壁空洞の縮小を認めたが,薄壁空洞には約半分ほどの液体貯留を認め,液体は約1ヵ月強で薄壁空洞をほぼ満たすようになった.また,壁肥厚もみられた.薬剤に対する耐性と考えたが,抗真菌薬(itraconazole)変更後も壁肥厚を認め,擦過細胞診を行った.その結果,class Vが得られ,遠隔転移がないことを確認した後,手術を行った.肺癌はS6を中心とし,不整な空洞の周りを取り囲んでいた.癌細胞は未分化な像で紡錘細胞が目立ったが,大型の円形細胞もみられた.免疫染色ではサイトケラチンに明瞭に染色された.以上より,多形肺癌と診断した.空洞内には貯留していた壊死物質やアスペルギルスの真菌塊がみられた.術後経過は良好である
©Nankodo Co., Ltd., 2005