JIM臨床画像コレクション
肺アスペルギローマ
木村 琢磨
1
,
米丸 亮
2
,
川城 丈夫
2
1国立病院東京医療センター総合診療科
2国立療養所東埼玉病院内科
pp.580
発行日 2002年6月15日
Published Date 2002/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414903557
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アスペルギルス症(Aspergillosis)の臨床像は多彩で,肺病変としてアスペルギローマ(菌球型アスペルギルス症),喘息症状を呈するアレルギー性気管支肺アスペルギルス症,肺炎型の病像をとる侵襲性アスペルギルス症が知られている.
症例は87歳の女性.20歳代に肺結核の既往があり,右肺尖部に遺残空洞が認められた.今回,血痰のため入院,胸部X線で右全肺野の浸潤影が認められた.喀痰・胃液・血液・胸水の各種培養は陰性で,一般抗菌薬や抗結核剤による治療は臨床的に無効であった.全身状態不良のため気管支鏡による精査は不可能であったが,入院当初から胸部X線写真とCTで,右肺尖部にアスペルギローマの菌塊(fungus ball)を疑わせる所見が認められた(表紙写真).そのため,侵襲性アスペルギルス症に準じた病態を臨床的に疑い,イトラコナゾールやアムホテリシンBを開始したが,呼吸不全のため永眠された.
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