臨時増刊特集 問題となるケースの治療のポイント
II.神経・筋疾患
慢性疾患の治療とケア
32.頸髄症
田代 邦雄
1
Kunio Tashiro
1
1北海道大学医学部・脳神経外科・神経内科部門
pp.2140-2141
発行日 1983年12月1日
Published Date 1983/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218573
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頸髄症(cervical myelopathy)とは,一般には頸椎ならびに椎間板の病変による頸髄障害を指し,頸椎症,あるいは頸椎症性脊髄症とほとんど同義語として用いられている.しかし,神経学でmyelopathyという場合はそれのみならず,髄膜炎,膿瘍,肉芽腫,腫瘍,外傷,血管奇形,脊髄空洞症,さらに放射線照射,中毒,代謝障害,栄養障害,癌などに伴う脊髄症から,脱髄性疾患まで含まれてくる1).したがって,本稿での頸髄症では,頸部脊椎症,椎間板ヘルニア,後縦靱帯骨化症,黄色靱帯肥厚,不安定脊椎,脊柱管狭窄症(前後径11〜12mm以下),腫瘍,脊髄空洞症も含めて述べることにする.
頸髄症の治療とケアを考える場合は,まずそれを起こしている原疾患が何であるかが正しく診断されて,はじめてその治療が可能になるわけで,それなくして対症療法を行っても意味がないばかりか,外科的手術で完治できるものも手遅れとなるケースさえありうる.脊髄疾患の診断は,近年のspinal CT scanやMetrizamide myelographyの導入により飛躍的な進歩をとげている2).しかしながら,これらの検査は,どこでも,まただれにでも行えるまでにはなっていない.したがって,神経症状のとらえ方とその解釈,そしてX線装置さえあればどこでもとれるはずの頸椎単純写の正しい読み方のポイントを知ることが第一線の臨床医として最も大切な点といえる
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