臨時増刊特集 問題となるケースの治療のポイント
II.神経・筋疾患
慢性疾患の治療とケア
33.脳卒中による失語症
重野 幸次
1
Kohji Shigeno
1
1伊豆韮山温泉病院・神経内科
pp.2142-2145
発行日 1983年12月1日
Published Date 1983/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218574
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失語症患者の管理は,基本的には脳卒中後遺症者のそれと全く同様である.高血圧,糖尿病,各種心疾患,肥満などの再発リスクを管理する一方,患者の脳損傷後に生ずるさまざまの精神心理的諸問題の調整を図りながら既存能力を最大限に引き出し,生きがいのある,有益な社会生活を送れるよう指導する.失語症患者は言語障害以外にも片麻痺,知覚障害,視野障害などを合併しているため,症例によってはコミュニケーションの障害だけにとどまらず,起居動作や歩行,食事,更衣などにも支障が生じている.したがって,そのような症例では言語障害と同時に運動療法(起居動作訓練と歩行訓練),作業療法(利き手交換訓練,片手による日常生活動作訓練)も行われる.
本稿では上記要項に留意した上で,実際の症例を通じ,失語症患者の言語治療の概要と日常管理上の注意点について解説する.
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