カラーグラフ 臨床医のための甲状腺生検
髄様癌の細胞診所見
藤本 吉秀
1
,
小原 孝男
3
,
平山 章
2
Yoshihide Fujimoto
1
,
Takao Obara
3
,
Akira Hirayama
2
1東京女子医科大学・内分泌外科
2東京女子医科大学病院病理科
3東京女子医科大学
pp.1958-1959
発行日 1983年11月10日
Published Date 1983/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218526
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髄様癌はサイロキシン,トリヨードサイロニンを合成分泌する濾胞上皮由来の甲状腺癌と違って,傍濾胞細胞(C細胞)由来の腫瘍であり,カルシトニンを産生分泌する.病理組織学的には非被包性の充実性腫瘍で,腫瘍細胞は線維性結合織に区切られてシート状,索状に増殖する.間質のCongo-red染色に染まるアミロイド沈着,細胞質内のGrimelius染色陽性穎粒,電顕的にカルシトニン分泌穎粒の存在,の3つが特徴的所見である.
髄様癌には散発性発生のものと,遺伝性発生のものとがある.遺伝性発生例は常染色体優性遺伝の型式で家族性に生じ,その多くは多内分泌腺腫瘍症第2型〔Multiple Endocrine Neoplasia(MEN)type2〕の部分症として現われる.MEN2型には甲状腺髄様癌,副腎褐色細胞腫,上皮小体過形成または腺腫の組み合わせで生じる2A型と,甲状腺髄様癌,副腎褐色細胞腫,粘膜神経腫,マルファン様体形の組み合わせで起こる2B型がある.
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