グラフ 臨床医のための電顕写真
糸球体・4
Deposit(沈着物)
坂口 弘
1
Hiroshi Sakaguchi
1
1慶応義塾大学医学部・病理学
pp.624-628
発行日 1983年4月10日
Published Date 1983/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218235
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deposit(沈着物)は,本来糸球体になかったものが血流に運ばれて糸球体にひっかかったものをいう.分子量の小さいものは係蹄壁を通ってボーマン腔に濾過されるので,濾過することのできない分子量の大きなものということができる.分子量の大きなものでも正常では,前回も述べたように,内皮下腔からメサンギウムを通り,血管極から糸球体の外へ出されていると思われる.したがってdepositというのは,このルートに入る量,出る量だけの問題でなく,転送する機構,糸球体の既存の構造との親和性など,いろいろの条件があると思われる.
図1は糸球体の模型で,沈着する部位により,上皮下のdeposit(subepithelial deposit),基底膜内deposit(intra GBM deposit),内皮下のdeposit(subendothelial deposit),メサンギウムのdeposit(mesangial deposit)などと呼ばれる.depositの形態は,均等なもの,細顆粒状のもの,細線維状のものなどがあり,色調も,濃いもの(densityが高いもの),淡いもの(densityの低いもの)など,さまざまである.
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