今月の主題 膵疾患診療のトピックス
生化学的診断法
アミラーゼ・クレアチニン・クリアランス比(ACCR)—メカニズムと臨床的意義
石原 敬夫
1
Yukio Ishihara
1
1東京大学医学部・第1外科
pp.570-571
発行日 1983年4月10日
Published Date 1983/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218220
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血中アミラーゼ濃度の上昇は膵炎の生化学的診断法として古くから重視されているが,高アミラーゼ血症は他の種々の病態でも出現するので,これらの鑑別が必要である.一方,膵炎では尿中アミラーゼ排出量(尿中アミラーゼ濃度は尿の濃縮度に依存するので診断価値はない)も増加し,これは血中アミラーゼ濃度が正常化した後も高値を持続する場合が多い.したがって膵炎ではアミラーゼ・クリアランス(Cam)の増加が診断上有効と考えられる.しかしCamは腎機能に依存するうえに,測定手技も繁雑である.
1969年Levittら1)はCamのクレアチニン・クリアランス(Ccr)に対する比(%),すなわちAmylase-Creatinine Clearance Ratio(ACCR)を導入し,Cam測定を簡便化し,高アミラーゼ血症において急性膵炎(ACCR上昇),腎不全(正常域),マクロアミラーゼ血症(低下)を鑑別した.ACCRは1975年Warshowらが急性膵炎時に特異的に増加することを強調して以来,膵炎の有力な診断法として多用されるようになり,その上昇機序もJohnsonら2)(1976年)の研究により,尿細管再吸収障害によるものと確定した観があった.
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