臨時増刊特集 これだけは知っておきたい診断のポイント
IX.血液疾患
特発性血小板減少性紫斑病 VS その他の血小板減少症
山中 學
1
Manabu YAMANAKA
1
1東京大学医学部付属病院・中央検査部
pp.2056-2057
発行日 1980年11月20日
Published Date 1980/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216875
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なぜ鑑別が問題となるか
出血症状を主症状あるいは初発症状として,その原因が血小板減少による疾患は,そう多いものではない.血小板減少による出血は,紫斑を特徴とする.その代表的な疾患は特発性血小板減少性紫斑病(ITP)である.他方,急性白血病,再生不良性貧血は,およそ1/3の症例で,最初に出血に気づいている,最もしばしばみられるのは,皮膚の紫斑,とくに点状出血で,ついで歯肉出血,口腔粘膜出血が多く,女性では性器出血がこれについでみられる.これらの初発症状としての出血はITPのそれと類似する.その他,急性前骨髄球性白血病(APL)のびまん性血管内凝固症候群(DIC)がある.きわめて激烈な出血性素因を示し,速やかに死の転帰をとる.このほか稀に先天性血小板減少症Fanconi症候群がある.さらに遺伝的疾患に,男児のみに発症する血小板減少と,湿疹,感染症を主徴とするWiscott-Aldrich症候群,多核白血球のDohle小体と大型奇形血小板を特徴とするMay-Hegglin異常,巨大血小板が出現するBemard-Soulier症候群などがある.後者は血小板の量的異常より質的異常が注目されている.このほか薬剤による血小板減少症がある.なおITPとの鑑別に苦労するものにSLEがある.
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