臨時増刊特集 これだけは知っておきたい治療のポイント 第2集
X.血液・造血器疾患
4.血液成分の輸血と骨髄移植
血友病および類縁疾患の補充療法
安部 英
1
1帝京大第1内科
pp.2234-2236
発行日 1978年12月5日
Published Date 1978/12/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402208319
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血友病A
血友病には,欠損する凝固因子によりAおよびBの2種類があるが,同様にこれらの因子の活性が低下するvon Willebrand病も類縁疾患として取り扱われ,治療には,それらの欠損している凝固因子を補充するのが最も的確かつ容易である.その補充薬剤としては正常血漿も用いられるが,血友病Aおよびvon Wiliebrand病の場合,現在はこれを低温で凍結させた後0〜4℃で再び融解させ,析出するクリオプレシピテート,あるいはこれをさらに精製した第VIII因子濃縮製剤が用られている.本稿ではこのうち,主に第VIII因子製剤の用法について述べることにする.
濃縮乾燥抗血友病ヒトグロブリンの特性 本剤は,採血後4時間以内につくった新鮮血漿または新鮮凍結血漿から直接に,またはそれからクリオプレシピテートを分離し,さらに精製してつくったものである.従来のクリオプレシピテートは1人の供血者の血液から1製剤がつくられるのに対し,本剤は50人分以上の血漿を集めた原血漿を原料にしてクリオプレシピテートをつくり,これを溶解して硫安や塩化カリで塩析したり,あるいはポリエチレングリコールで沈殿させたりした後,さらに合成樹脂による濾過を行ってフィブリノゲンや第VIII因子以外の凝固因子をできるだけ除き,第VIII因子の含量を高くして凍結したものである.
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