今月の主題 止血機構とその異常
出血性疾患の臨床;病態とその診断
血友病
風間 睦美
1,2
1帝京大学医学部・第1内科
2帝京大学薬学部・臨床生化学
pp.228-230
発行日 1986年2月10日
Published Date 1986/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402220212
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血友病の病態
血友病なる病名は先天性第Ⅷ因子欠乏症(A),および第IX因子欠乏症(B)に与えられており,血友病C(第XI因子欠乏症)やパラ血友病(第V因子欠乏症)なる語は現在は用いられない.血友病の発生頻度は全世界ほぼ同程度とされ,モデル県の成績に基づく推計によれば,わが国での血友病Aの頻度は人口10万人当り7人で,血友病Bはその1/5とされる.遺伝形式が劣性伴性であることは周知であるが,症例の30〜40%は孤発例である1).
初発出血症状は乳・幼児期には皮下,鼻,歯肉などの出血で,学童期になると関節や筋肉の出血が増加する.部位別にみると四肢の大関節出血が多い.関節は日常生活で機械的刺激が非常に加わる器官であり,また関節滑膜は血管に富み,出血しやすい.関節に次いで筋肉や皮下の出血が多い.関節や筋肉内の出血が始まると,ごく初期には局所のこわばり感や運動制限感が現われるが,この時期に補充療法を行うことがきわめて重要である.
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