臨時増刊特集 これだけは知っておきたい治療のポイント 第2集
V.肝・胆道・膵疾患
3.肝硬変症の合併症と対策
肝性昏睡治療のポイント
佐藤 俊一
1
1岩手医大第1内科
pp.1976-1977
発行日 1978年12月5日
Published Date 1978/12/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402208221
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はじめに
肝硬変の合併症としての肝性昏睡は死因の頻度も食道静脈瘤破裂とともに高く,臨床的に最も重要なものである.肝硬変による昏睡の発生機序はなお不明の点が多いが,高アンモニア血症が重要な役割をもつことはこれまでの研究で明らかであり1,2),これには門脈副血行路が主役をなし,それに肝細胞障害が加味して生ずる.
したがって,肝硬変による昏睡の治療は高アンモニア血症に対する対策が中心となるが,アンモニアおよび腸管由来の有毒物質の作用を増長する諸因子の除去も大切である.なお最近,血漿遊離アミノ酸のアンバランスが偽性伝達物質との関連において肝性昏睡の発生因子として注目され,これに対する対策も望ましい3).
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