医学と看護・9月のテーマ
肝性昏睡
萩原 忠文
1
,
勝呂 長
1
,
布山 峰雄
1
1日本大学医学部・萩原内科
pp.55-58
発行日 1967年9月1日
Published Date 1967/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661913279
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肝性昏睡とは
肝性昏睡とは,重症肝障害の経過中にあらわれる神経および精神症状の激しい症候の一つである。たとえば,ラエンネック型肝硬変症,ウイルス性肝炎,中毒性肝炎などのさいに,しばしばみられるが,閉塞性黄疸,胆汁性肝硬変症,ウイルソン病あるいは肝癌などでもみとめられる。一般に,肝疾患に由来する昏睡は,肝臓の全機能の広範な障害にもとづくとされ,従来,肝不全ともよばれたが,最近では,肝性昏睡(hepatic coma)という名称が広く用いられている。重症肝障害の終末像である肝不全と肝性昏睡とは厳密には区別すべきものである。その理由は,肝疾患にみられる意識障害のすべてが肝不全によるものではなく,肝不全の程度とも必ずしも一致しない点などから,肝性昏睡をただちに肝不全とはいいがたい。
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