演習・放射線診断学 シンチグラム読影のコツ・2
肝シンチグラム(1)
木下 文雄
1
,
久保 敦司
2
1都立大久保病院放射線科
2慶大放射線科
pp.1190-1195
発行日 1978年8月10日
Published Date 1978/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207998
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シンチグラムが診療に応用される臓器は,以前は甲状腺,脳,肝などが代表的なものでしたが,今日ではたとえば甲状腺シンチグラムは得られる情報が異なるとはいえ,in vitro testによる甲状腺ホルモン測定のめざましい進歩に押されて,また脳シンチグラムもCTの出現によってその利用は減り,最近は肝,骨,腫瘍,心肺などのシンチグラフィーが代表的なものと変わってきています.
肝シンチグラムは,とくに日本では消化器癌が多く,その肝転移の頻度が高いことから広く利用されています.腹部臓器の形態的診断としては血管造影,CTなどの進歩も最近は著しいものがありますが,前者は患者の侵襲,負担.術者の技術の必要なことなどに問題があり,後者は操作も容易,患者の負担も少なく,情報もすぐれてはいますが,hepatomaなど充実性の腫瘍の存在診断はシンチグラムより劣ることも少なくなく,CTが設置されても,肝シンチグラムの依頼件数は現状では減少の傾向を認めません.本号では肝シンチグラムの正常像とspace occupying lesionについて述べ,次号では肝のびまん性疾患の像と胆道性シンチグラフィーについて述べる予定です.
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