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紛糾する医療費問題
pp.289
発行日 1965年2月10日
Published Date 1965/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402200711
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一昨年の暮以来もめつづけた医療費緊急是正の問題は,昨年11月19日夜,首相官邸で開かれた自民党三役と田中蔵相,神田厚相,高橋経企庁長官らの政府与党首脳会談で,(1)緊急是正として診療報酬を本年1月1日から9.5%引き上げる,(2)薬価基準の引き下げによる約3%の財源は技術料の引き上げにふりむける,ことを決め,その条件として,医療問題の根本的解決をはかるため,自民党に「医療問題懇談会」(仮称)を設置するほか,保険財政建直しのため,昭和40年度から,(1)保険薬剤費の一部を患者に負担させる,(2)保険料を引き上げる,(3)薬価基準の算定方式を改定する(現行の90%バルク・ラインを引き下げる),という覚え書きが取り交わされた。
厚生省は,この覚え書きにもとついて,緊急是正と同時に,医療保険財政の赤字対策,薬価基準の改正など,具体案の作成を急いでいるが,9.5%引き上げの内容は,入院料,初診料に重点をおき,薬価基準の3%引き下げによつて,浮く財源は,薬剤の使用量が多い内科,小児科に重点をおいて配分する方針のようである。なお,薬価基準算定に用いられている90%バルク・ライン価格とは,全病院,診療所のうち90%の病院,診療所が,薬剤を購入することができる価格である。
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