銀海余滴
医療費問題と世論(1)/医療費問題と世論(2)
桐沢 長徳
pp.119,283
発行日 1961年2月15日
Published Date 1961/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410207159
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医療費の問題が毎日の新聞に書き立てられて最大の政治問題になつているが,その解決法はとにかくとして,医師に対する世論の風当りの強いのはどうした理由であろうか。
医師会の言い分が,医者である我々にはもつともと思えるのは当然であるが,これが一般の人には殆ど理解されていないのは事実である。一般人の印象は「医師会は厚生省の方針にことごとに反対し,自分の権利のみを主張している。しかも世人の納得できるデータを示さずに,その解決を自民党最高幹部との話し合いで政治的に求めようとばかりしている。」というのであつて,いわば,医師会は圧力団体である権力を利用して横車を押そうとしているように思われている。これは甚だ遺憾であるが世論というものの実態がそうであるのだから致し方がない。従って,この際われわれ医師としても充分に考え直す心要があるのではないだろうか。その方法としては勿論色々とあるであろうが次に気のついた点を記してみよう。
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