ニュース
紛糾する薬価基準の引き下げ
X
pp.1104
発行日 1965年7月10日
Published Date 1965/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402200926
- 有料閲覧
- 文献概要
日本医師会は,健康保険法の改正で一躍クローズ・アップされた薬価基準の引き下げは,政府がステロイド・ホルモン,抗生物質,活性ビタミンなどの価格検討をメーカーに強要し,これを出発点として全面的な薬価の引き下げを意図するものであり,薬価の全面引き下げは将来の薬の質的低下をまねくおそれがあるので,全面的に反対するとの方針を強力にうちだしている。
一方,健康連,総評などの代表は,健保法などの改正案を審議している社会保険審議会で,薬価基準の引き下げ問題をとりあげ,「民間会社で1,000億円もの赤字を出せば,社長以下役員はクビものだ」,「薬価基準引き下げを実施すれば,赤字解消に役だつことを知りながら,医師会の反対から放置して国民に過重な負担を強い,しかも赤字が累積したから国民に尻ぬぐいをさせるというのは暴論だ。これが公正な保険行政といえるか」と,厚生省当局の怠慢を鋭く追及している。そして,薬価基準の引き下げ方法についても,薬の卸売り価格の値下がりから,総医療費の約4.5%,450億円の引き下げが可能であるが,現在中央社会保険医療協議会に諮問中の3%分は同協議会の開催が不可能なので後まわしにし,1.5%分をただちに引き下げて国民に返せと主張している。
Copyright © 1965, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.