連載 医事法の扉 内科編・24
判例上の義務(2)
福永 篤志
1
,
松川 英彦
2
,
稲葉 一人
3
1国家公務員共済組合連合会 立川病院脳神経外科
2国家公務員共済組合連合会 立川病院内科
3中京大学法科大学院
pp.2198-2199
発行日 2012年12月10日
Published Date 2012/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402106587
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今回も引き続き「判例上の義務」について検討します.前回は,チーム医療の説明義務と死因説明義務について,それぞれ考察しました.今回も,説明義務に関連して,家族への説明義務についてまずは検討したいと思います.
説明義務(民法645条,医療法1条の4第2項など)は,その条文を読む限り,医療従事者に対し,原則として患者本人への説明義務を課したものと解されます.一方,療養指導義務(医師法23条)は,「本人又はその保護者」への療養指導を義務付けています.これは,日常生活における疾病管理について,その疾病の治療・再発予防を徹底させるためには,病者だけに任せると不十分な場合があるので,そのような場合には周囲の家族などの保護者にも協力してもらう必要があるという配慮に基づくものだと考えられます.特に,小児や高齢者の場合には,保護者の協力が不可欠です.そうすると,療養指導の際には病状に関する説明も必要ですから,結局,患者本人だけでなくその保護者に対しても説明義務が発生するようにも思えます.
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