連載 医事法の扉 内科編・6
説明義務(1)
福永 篤志
1
,
松川 英彦
2
,
稲葉 一人
3
1国家公務員共済組合連合会 立川病院脳神経外科
2国家公務員共済組合連合会 立川病院内科
3中京大学法科大学院
pp.1112-1113
発行日 2011年6月10日
Published Date 2011/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402105241
- 有料閲覧
- 文献概要
- 参考文献
説明義務違反は,脳神経外科領域の医療訴訟の半数で争点として取り上げられ,そのうち約60%が裁判所に認定されていることがわかりました1).たしかに,外科系の診療科では,手術という,患者さんにとって最も侵襲の大きい医療行為の前には必要十分な説明が求められますから,注意深く説明せずに術後に患者さんに何か問題が生じた場合には,「適切な説明がなかった」,「適切な説明があれば手術は受けなかった」などとして説明不足を追及される可能性が比較的高いのでしょう.
では,内科領域ではどうでしょうか.内科にも内視鏡手術や内視鏡下生検術などの手術類似の医療行為がありますし,抗癌剤の投与など,手術でなくても患者さんへの負担が大きい治療もあります.そもそも,診療契約上,医療側には報告義務が課せられ(民法645条),医療法でも,医療を提供する際の適切な説明と患者側の理解が求められていますから(医療法1条の4第2項),侵襲の大小にかかわらずすべての医療行為に説明義務があるといっても過言ではないかもしれません.
Copyright © 2011, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.