救急神経症候の鑑別とマネジメント(10)
ミオグロビン尿症と悪性症候群のneuro-critical care
永山 正雄
1
1東海大学医学部内科学系神経内科学
pp.1764-1770
発行日 2003年10月10日
Published Date 2003/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402102253
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ミオグロビン尿症
横紋筋融解症との異同
高度の血清クレアチンキナーゼ(CKまたはCPK)増加を呈する横紋筋融解症(rhabdomyolysis)は,大量の骨格筋の急速な崩壊による.一方,ミオグロビン尿症(myoglobinuria)は尿中ミオグロビン値という別の指標で同一の病態を表現したもので,現時点では両者は事実上同義語といえる.
臨床像の着眼点
本症では,筋崩壊により局所または全身の筋肉痛,圧痛,腫脹,皮下出血がみられる.さらに広範な原因に基づく各種の全身症候,例えばウイルス性脳炎や圧挫症候群(crush syndrome)に伴う意識障害,悪性症候群,悪性高熱症や熱中症に伴う高熱,多発性筋炎に伴う全身脱力がみられる.原因疾患は多岐にわたり,かつ重症疾患が多く,その迅速な鑑別が重要である(表1)1,2).なお静脈内投与後すぐに局所が腫脹する場合は,発症後間もないことが示唆される.臨床検査では,血清CK増加(100,000 IU/lを超す例もある),ミオグロビン尿(赤ブドウ酒色あるいはコーラ色尿),血中ミオグロビンやアルドラーゼの増加を呈する.なおミオグロビン尿とヘモグロビン尿,尿路出血,あるいはポルフィリン尿との鑑別は重要であるが,これが問題となることは実際上は少ない.
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