救急神経症候の鑑別とマネジメント(9)
慢性期脳梗塞のneuro-critical care
永山 正雄
1
1東海大学医学部内科学系神経内科学
pp.1596-1604
発行日 2003年9月10日
Published Date 2003/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402102217
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慢性期脳梗塞例の病態は,発症1カ月以上経過しても持続する脳血流・代謝の広範な低下と血栓・塞栓再発準備状態に要約できる1).多くの例が重症化のpotentialを抱えており再発率も想像以上に高い.本稿では,脳卒中治療ガイドライン2003(作成委員長:篠原幸人,事務局:筆者)2)および平成14年度厚生労働科学研究班(脳梗塞班)報告書3)の意図を踏まえつつ,臨床病型,機序,責任血管などを考慮した脳梗塞慢性期の治療指針(私案)を述べる(表1).
成因の把握およびその再検討
脳梗塞例では,経過観察中に新たな危険因子を合併したり,再評価により成因評価が変わることも少なくない.例えば諸種先天性血栓性素因や発作性心房細動の検出,弁膜症を伴わない心房細動〔非弁膜症性心房細動(NVAF),孤立性心房細動(lone AF)〕や内頸動脈病変の合併などである.したがって,特に原因不明例・若年例・非定型例・家族発症例や多くの危険因子を有する例では,継続的なwork-upが必要で,時には血縁者の検索も必要となる(本誌40巻7号参照).以下,便宜上各危険因子を動脈硬化性・塞栓性・血栓形成性・その他の4群に分けて,その管理の実際および最近の話題を紹介する.
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