救急神経症候の鑑別とマネジメント(11)
低(無)酸素・虚血後脳症のneuro-critical care
永山 正雄
1
1東海大学医学部内科学系神経内科学
pp.1948-1953
発行日 2003年11月10日
Published Date 2003/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402102289
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主要臓器が機能障害をきたすリスクは,虚血時間を直接反映する.心停止の場合の虚血時間は,心停止から心肺蘇生術(CPR)開始までの時間(心停止時間)と蘇生に要した時間(CPR時間)からなる1).CPR成功後1時間以内に意識が回復しなかった262例の検討では,心停止時間が6分未満かつCPR時間が30分を超えなければ半数例は神経学的に十分回復した.一方,心停止時間が6分以上かつCPR時間が15分を超えると生存しても常に神経学的障害が残ったという2).これは,脳重量は成人体重の約2%に過ぎないが,安静時酸素消費量は総酸素消費量の20%に達することから理解されよう.
本稿では,蘇生後や侵襲的処置後など広範な臨床場面で発生し,法的・医療経済的にも大きな問題となるにもかかわらず,成書に記載の乏しい低(無)酸素・虚血後脳症〔posthypo(ano)xic-ischemic encephalopathy〕について述べる3).
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