増刊号 新しい臨床検査・未来の臨床検査
各論
3.免疫血清検査
3 抗CCP抗体
大田 俊行
1
1産業医科大学臨床検査・輸血部
pp.1197-1199
発行日 2006年10月15日
Published Date 2006/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543101085
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はじめに
リウマトイド因子(rheumatoid factor,RF)は関節リウマチ(rheumatoid arthritis,RA)の診療において極めて重要な臨床検査として半世紀以上にわたり診断,活動性,関節破壊の予後予測などのために用いられてきた.RFはRA患者のいずれかの病期において85~90%の頻度で陽性となるが,他の膠原病,肝疾患,感染症などでもしばしば検出されるので,決してRAに特異的な検査ではない.一方,約40年前に発見された抗核周囲因子(anti-perinuclear factor,APF)およびその後に発見された抗ケラチン抗体(anti-keratin antibodies,AKA)はRAに対する高い特異性を有する抗体であるが,後にシトルリン化フィラグリン(citrullinated filaggrin,cFg)がその抗原であることが判明した.抗CCP抗体(anti-cyclic citrullinated peptide antibodies,抗環状シトルリン化ペプチド抗体)は抗フィラグリン抗体研究の延長線上の産物として登場した.当初(第一世代抗CCP抗体測定キット)はRAに対する特異度は90%以上と良好であったが,感度は41~68%でありRFより劣っていた.改良された第二世代キットの感度は64~88%と改善を示す一方で特異度は変わりなく,RA診療に有用な検査として欧米ではRFとともにRA診療の重要な検査として使用されている.しかし,わが国では保険未収載であり,早期の収載が待ち望まれる.
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