特集 包括的な糖尿病対策
栄養学からみた糖尿病—エネルギー制限と糖質制限
江部 康二
1
1一般財団法人高雄病院
pp.743-748
発行日 2016年10月15日
Published Date 2016/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208525
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従来の糖尿病食(エネルギー制限・高糖質食)は糖尿病を増加させる—久山町研究
久山町は,福岡市の東に隣接する,人口8,000人足らずの町である.1961年から九州大学医学部が,ずっと継続して40歳以上の全住民を対象に研究を続けている.5年に一度の健康診断の受診率は約80%で,他の市町村に比し高率である.また,死後の剖検率も82%の住民において実施されていて,精度の高い研究の支えとなっている.
1961年当時,日本の脳卒中死亡率は非常に高く問題となっていたが,久山町の研究により,高血圧が脳出血の最大の原因であることが判明した.それを受けて,食事の減塩指導や降圧剤の服用で血圧のコントロールを行ったところ,久山町の脳卒中は1970年代には3分の1に激減した.
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