連載 図説 公衆衛生・17
健康増進活動の現状と課題
安西 定
1
,
柳川 洋
2
,
高原 亮治
3
,
川口 毅
4
1国立循環器病センター・運営部
2自治医大公衆衛生学教室
3厚生省保険局医療課
4栃木県・保健予防課
pp.285-288
発行日 1978年5月15日
Published Date 1978/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401205599
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健康の定義としては,WHOの提唱による「身体的,精神的および社会的に完全に良好な状態にあること」が,最も一般的に使われている.「健康」の概念を,従来の「疾病がない状態」から「自然環境や社会環境への適応力」へと発展させ,健康増進とはこの「適応力」をつけていくことであるとする考え方が,健康増進活動の基本的な姿勢である.したがって,健康の保持・増進はまず個人の問題であるから,健康増進の実践に際して最も重要なことは,各人が健康の価値を認識することであり,自らの努力によってこれをかちとっていくことに,この活動の原点がおかれる.健康増進の基本的なあり方として栄養,運動,休養の3つの要素が互いに調和を保っていなければならないが,現代のようにモータリゼーションの普及,食品流通機構の発達などによって生活が便利になると,運動不足,栄養過剰による肥満傾向をはじめ,糖尿病,痛風,心臓病など栄養のアンバランスから来る疾病の増加傾向がみられる今日この頃である.ここに,健康増進活動の現状と問題点を明らかにするとともに,厚生省が昭和53年から始めた「国民健康づくり運動」の一端をも併せて紹介する.
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